姫路城ぬの門・リの二渡櫓特別公開(2021.2) [1/3]

姫路城上山里曲輪に現存する二重櫓門「ぬの門」と、それに隣接する「リの二渡櫓」が2021年冬に内部公開されたときの訪問記です。「ぬの門」の内部が公開されたのは今回が初めてとのことです。

＜基本データ＞
●名称：姫路城ぬの門
●所在：兵庫県姫路市本町 (地図)
●城主：池田輝政
●築城：慶長期
●遺構：現存櫓門、現存櫓
●時間：30分（14:00−14:30）
●情報：神戸新聞1、神戸新聞2

訪問時期：2021年2月
姫路城ぬの門・リの二渡櫓特別公開（2021）其の一、其の二、其の三。

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＜訪問記＞

大天守直下の備前丸に通じる上山里曲輪を守る、重要な場所に位置する「ぬの門」です。高い石垣に囲まれ折れ曲がった細い入口を、巨大な二重の櫓門が守るという超堅固な城門です。
特別公開エリアは、まず「リの一渡櫓」に入って、そこを通り抜けて階段で「リの二渡櫓」の2階へ向かう、というルートになっていました。「リの一渡櫓」は通常も公開されている場所ですが、この時は新たに始まる大名行列展示のプレオープン、という位置付けで有料エリア化されていました。「リの一渡櫓」入った所に料金所があり、そこで特別公開料金300円を払いました。
「リの一渡櫓」1階に展開された大名行列展示コーナー。大名行列で用いた道具や衣装（幕末の史料を元にした復元とのこと）、説明パネルなどがびっしり設置されています。これは2023年4月現在もまだ見ることができます（無料エリア）。リの一渡櫓は天井がとても低いです。
一番奥の「チの櫓」の一階は、大名行列グッズが展示されていました。が、櫓の中には入れないので遠くから見るだけです。ここは以前は甲冑展示コーナーになっていたこともありました。ここ一階には二階への階段がないので、「チの櫓」も二階へは隣接する「リの一渡櫓」の二階から横移動で入るようです。
リの一渡櫓を出てきました。正面にある階段から特別公開の「リの二渡櫓の二階」へ行きます。
が、まずは（普段は一般公開されている）「リの二渡櫓」の一階、庇の下にある鯱三兄弟を見ていきましょう。ここは壁が無く開けっぱなしになっていますが、城があった当時はここに手前に隣接して張り出し部があり、「ぬの門」を入ってきた人を見張る番所になっていました。明治の大修理の際に張り出し部が撤去され、展示用に庇が新設されたようです。
「リの一渡櫓」一階に展示されている「しゃちほこ三兄弟」。明治・昭和・平成の3回行われた大修理の際に取り替えられた大天守鯱のレプリカまたは役目を終えて下ろされてきた現物です。
大天守の鯱説明板。全国的な傾向として明治中期以降の鯱は耐久性に乏しい、と書かれています。明治・昭和の鯱は現物（次の修理時に下されたもの）で、平成の鯱は同型のものです。
では階段をあがって、「リの二渡櫓」の二階へ行きましょう。庇の下に一階奥への入口がありますが、今回一階は（鯱が置かれている所以外は）非公開です。
リの二渡櫓の二階へは江戸時代も外の階段（木の階段の下にある石段）から入っていました。その石段にはいくつかの刻印も見られます。
階段上から振り返って見た「リの二渡櫓」の二階部分。窓が全くありません。また隣接する「リの一渡櫓」の二階はとても低くなっていて屋根裏程度の高さしかなさそうです。一階の天井も低かったので、それなりの高さがあるのかもしれませんが、なぜ一渡櫓だけこういう構造になったのかは不思議です。
階段上から見る「ぬの門」。ぬの門は「リの二渡櫓」側から入ることはできず、反対側から直接入ります。二階と一階はここも内部では行き来できず、一階と二階の入り口がそれぞれ外側に別々に設けられています。リの渡櫓と「ぬの門」は別のタイミングで建造されたことが想像されます。
「ぬの門」の屋根瓦。漆喰塗り立てで真っ白です。窓の下に出ている管は、窓から桟に入り込んだ雨水を排出するための鉄管です。
だいぶ引っ張りましたが、では「リの二渡櫓」二階へ入って見ましょう。
「リの二渡櫓」二階の様子。中は細かく部屋が分かれていて、この部屋はL字形の隅部と「ぬの門」二階とを繋ぐ間の部屋。天井板は無く、ここも長い一本木の梁が剥き出しです。
「リの二渡櫓」二階、ぬの門接続部の部屋。
「リの二渡櫓」二階、ぬの門接続部の部屋。外側に向けて、格子窓と鉄砲狭間が設置されています。
「リの二渡櫓」説明板。
昭和の大修理後に古写真が見つかり判明した、「リの二渡櫓」の江戸時代の姿です。鯱三兄弟が展示されている部屋の手前に張り出し部があり、ここが「ぬの門」を入ってきた人を見張る番所になっていることが分かります。明治の修理時になぜか撤去・改変されてしまったようです。よく見ると隣の「リの一渡櫓」も大屋根になっていて今のように一階と二階の屋根が分割されていません。それにしても地面が一面草だらけでびっくりです。陸軍接収後、三の丸より上のエリアは本当にほぼ放置されていたのがよく分かります。
リの二渡櫓二階の屋根部。屋根を支える重要な梁に巨大な一本木が使われています。
「リの二渡櫓」二階の格子窓から曲輪の外側を見てみた図。巨大な高石垣が眼前にそびえます。門前に来た敵兵は狙い放題です。