東莱邑城 [2/2] 駅構内にリアルに再現された堀跡へ。

東莱邑城 訪問記 其の二。

<前回までのあらすじ>
復元された朝鮮王朝の行政拠点跡・東莱邑城へ。邑城の特徴である、巨大な城壁と城門、将台などが復元されている。北門から城壁に沿って降りてきた。石垣の現存部と復元部を見比べると、ここもまた盛り盛りで再建されたようだ。其の二では石垣に沿って下山し、かつての政庁跡や発掘された堀跡の展示場などを訪ねる。

訪問時期:2018年11月
東莱邑城 訪問記 − 其の一

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<訪問記>

wajo_tonne-33_5963邑城の城壁に沿って、山麓へと降りていこう。

wajo_tonne-34_5964ここでも張り出し部の銃眼から外を覗き込む。なかなかの斜面の上に築かれていて攻め手は大変そうだ。

wajo_tonne-35_5966城壁はここで大きくカーブし、一気に斜面を下っていく。山頂を経由しながら尾根を城壁で囲む万里長城スタイルを見て、倭城にも多くの登り石垣が築かれたのかも知れない。

wajo_tonne-36_5971一気に斜面を下っていく城壁。その先には巨大ビル群。時代のコントラスト。

wajo_tonne-37_5972s下から見上げるとなかなかの急坂。こちらから上がるルートは大変そうだ。

wajo_tonne-38_5974降りてきたところにあった説明板。雉城(ちじょう)。先の城壁でも多く見られた「張り出し部」のことを朝鮮では雉城と呼ぶという。概訳→「東莱邑城 雉城は敵の接近を早期に探り、戦闘の際に壁に接近する敵を両側面から攻撃できるよう 城壁の一部を外に出して築いた施設である。2011年に発掘調査により確認された遺跡である。」

wajo_tonne-39_5975地面をよく見てみると、石で雉城の平面復元がなされている。先ほどのはその説明板だったのだろう。正面の色が濃い四角形の部分が雉城で、その右側のラインが城壁を表している。

wajo_tonne-40_5976もう少し引いて。城壁自体がぐぐっと曲がっているが、そのカーブの直前に雉城が築かれているようだ。

wajo_tonne-41_5978山の部分を降りて、地上を散策。今は完全に宅地化されているが、当時はこのあたりも邑城内だった。右側は食料品店が並ぶビル、その向かい側、左側に赤い門が見える。

wajo_tonne-42_5980ここは「宋公壇」、先の東莱城の戦いの際に戦死した東莱府使の宋象賢などを祀った場所。中には殉節碑など。

wajo_tonne-43_5987再び露天の並ぶ市場を通り抜ける。キムチなどの発酵食品がデカイバケツに入ってそのまま並べられているので、市場全体が酸っぱい匂い。

wajo_tonne-44_5988露天市場を抜けて太い道添いにあるのは、東莱獨鎮大衛門。石を埋め込んだ古い土塀。説明板には「東軒 外大門」とある。1636年東莱府再建の際に築かれ、今の姿は1870年のもので、あちこち移設されたあと2014年にここに移ってきたとか。

wajo_tonne-45_6025もう一つ奥の門へ。こちらには城兵がいた。東莱府東軒とある。東軒(ドンホン)とは朝鮮時代の守令(地方官)の執務所。こちらが正門で、先ほどの外大門はその名の通り、もっと外側にあったのだろう。

wajo_tonne-46_5998s東軒の内部へ。建物がいくつか整備・復元されている。正面の一番大きな建物「忠信堂」に入ってみよう。

wajo_tonne-47_6001忠信堂 内部。正面の椅子に偉い人が座っている。いかにも中国文化に影響受けてます、という印象。沖縄の首里城もこんな感じ。

wajo_tonne-48_6010忠信堂を横から。横長の建物。奥にジオラマがある。

wajo_tonne-49_6003東軒ジオラマ。おそらくこの門が、最初に見た外大門(のあるべき場所)か。

wajo_tonne-50_6006こちらが先ほど入ってきた正門。なぜか「なまこ壁」になっている。奥の忠信堂の正面には、偉いさんが座っている。何かの儀式を行う時の様子なのだろう。

wajo_tonne-51_6017建物の中にはパネル展示や合成プリクラ機(デジタル顔出し写真を取ってメアドを入れるとダウンロードURLがメールで送られてくる仕組み)などがあった。注目は東莱城の戦いのシーンを模型化した、これ。森の中で目立ったと言われる白い服の朝鮮兵と、具足姿の日本兵。朝鮮兵が手にしている刀も反りがあり日本刀のように見える。当時の朝鮮人の刀は直刀や両刃といった、日本刀とは全く異なるものだった。

wajo_tonne-52_6018著名なシーン、戦則戦矣 不戦則假我途 の札。城壁の上からは戦死易假我難、の札も下がる。なお城壁が総石垣となっているが、古絵図では上三分の二ほどは土塀あるいは板塀のように見えるが果たして。

wajo_tonne-53_6026sでは最後に、東莱邑城の最寄駅である寿安駅の構内に、東莱邑城の展示コーナーがあるというので、訪れてみよう。ここから降りる。

wajo_tonne-54_6027こちらが東莱邑城コーナー。無料だが、なかなか立派な展示場だ。地下鉄駅工事の際の発掘調査で出土し、遺物の展示や復元展示をしているという。「東莱邑城壬辰倭乱歴史館」という名前とのこと。

wajo_tonne-55_6028入った正面にある、東莱邑城のジオラマ。左右に例の文言が掲げられているが、ジオラマは18世紀再建バージョン。

wajo_tonne-56_6030カーブを描いた城壁を持つ南門。その外側に石垣造りの堀が見える。これが発掘調査で発見されたもの。というかこのジオラマだと堀幅が狭すぎないか?

wajo_tonne-57_6031東莱邑城ジオラマ全景。立派なのだが大きすぎて奥の復元された北門あたりがよく見えない。

wajo_tonne-58_6032発掘調査で出土した展示コーナーへ行ってみよう。

wajo_tonne-59_6035例によって英語とハングルは長文説明、日本語と中国語はちょろっと書かれているだけだ。日本軍は1592年4月12日、一番隊の小西行長・宗義智・松浦鎮信らが釜山へ到着、釜山鎮城へ仮途入明の書状を送るも無視されたため翌13日に釜山鎮を攻撃、2時間程度で城壁は破られ落城したという。翌14日、ここ東莱邑城を攻撃、翌15日には城壁を突破し落城させている。

wajo_tonne_6033.jpg東莱城の戦いを描いた図。右上の城壁が破られて日本軍が中に入りこんでいる。左上の方には馬に乗って逃げていく朝鮮兵。慶尚左道の指揮官だった李珏は、釜山鎮の落城を聞いて逃げ出したという。そのシーンだろうか。ちなみに李珏は敵前逃亡の罪で後に斬首されている。水軍将の朴泓も釜山鎮の攻撃を見て逃亡し、後に斬首刑。

wajo_tonne-60_6042展示されていた出土品シリーズ。こちらは朝鮮兵の当時の鎧。左のパネル写真が出土品、にしてはキレイなのでどこかの保存文化財か。説明板には色んなタイプの鎧兜があった、と書かれていて説明されているが、このマネキンのがどれなのか分からず。鉄製の鎧と兜は堀跡から出土した、とある。マネキンの着ているのは鉄製には見えない。かわのよろい?

wajo_tonne_6039こちらは出土した鉄のプレートを合わせた鎧、だろうか。

wajo_tonne_6036堀から出土した兜と武具。朝鮮刀(直刀・両刃)は複数出土しているものの、片刃で反りがある日本刀は1本しか出土していない、と書いてある。写真でいう一番上のものだろうか。刀そのものの製造技術の違いからだろうか、日本刀と他の3本の刃の劣化具合が大きく異なる点にも注目。

wajo_tonne-61_6048そして、発掘された堀跡の石垣と出土遺構の再現。逆茂木だろうか、多数の木材と、人骨や武具が散乱している。

wajo_tonne-62_6049すごい迫力だ。これが駅構内にある。430年前、ここで確かに戦いがあった証拠。

wajo_tonne-64_6053堀跡の断面図。堀は邑城の城壁から30m離れて築かれており、幅5m、深さ2mの規模だった。中からは刀剣、木製の弓、矢尻、頭蓋骨などが、屋根瓦や陶器などとともに出土したという。

wajo_tonne-65_歴史館の隅には、オールハングルだが東莱城の戦いを描いたショートムービー(昔のTV番組っぽい雰囲気)が上映されていた。俳優演じる小西行長らも登場。釜山鎮の戦いは壮絶だったという古文書のシーン。小西行長が出てきたシーンを撮れば良かった。

軽く訪れるつもりが、資料館2つに東軒などをめぐっていると結構時間が掛かったが、復元城壁は雰囲気を感じるには(目新しいのもあり)良く、また東莱城の戦いの経緯を含めた東莱邑城を知るには良い場所だった。次回行くことがあれば、東将台のある倭城跡もぜひ訪れてみたい。

訪問時期:2018年11月
撮影機器:FUJIFILM X-A3 + XF10-24mm
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