品川台場 [前編] 六番台場をレインボーブリッジを歩きながら眺める

1853年ペリー提督の黒船が突如浦和に来襲。再来襲に備え幕府が江戸湾に急造した台場(砲台島)群が品川台場である。第一番から第七番までの計7基の台場建設が行われたが財政難などにより2基が途中で中止、一二三五六番のみが完成した。実際 翌年のペリー再来時には一部が既に完成しており、品川沖で台場を見て驚いたペリーは江戸には入らず浦和に再上陸したという。台場自体は実戦に使われることなく開国を迎えた。台場跡はその後しばらく放置されるも航路整備等のため徐々に撤去され、現在は第三番・第六番のみ現存。第三番は台場公園として整備され、お台場から陸続きで徒歩で上陸散策が可能となった。第六番は海上に残され現在は立入禁止。

<基本データ>
●名称: 品川台場 (Wikipedia)
●所在: 東京都港区 (マップ)
●築主: 江戸幕府 (江川太郎左衛門)
●築城: 1853年 (嘉永五年)
●遺構: 石垣、土塁、建物跡
●関連: 東京港埠頭株式会社HP


<訪問記>

品川台場跡はレインボーブリッジの上からよく見える位置にある。レインボーブリッジは実は歩いて渡る事ができる遊歩道があるので、まずはそこから第六番(海上)を眺め、そのまま歩いてお台場に渡って第三番(台場公園)へ上陸するルートを取ろう。

s_daiba-5228レインボーブリッジ入口へ。JR田町駅から歩いて5分ほどで、レインボーブリッジの麓に到着。歩いてくる場所じゃないのか、太い道路がバシバシ通りトラック等がバンバン通る湾岸工場地帯という印象。奥の白いビルがレインボーブリッジ入口。横の看板には「レインボーブリッジ営業案内」と書いてあるが通行無料。昔は有料だったそうだ。金網にそって奥へ進む。歩いている人は誰も居ない。

s_daiba-5229この道を奥へ。レインボーブリッジ入口→ なんていう看板があちこちにあるので迷いそうで迷わない。

s_daiba-5230右側の道を渡る。有料時代の名残の料金ゲートらしき場所があったが封鎖されてたのでそのまま奥へ進むと、警備員さんが立っているスロープを発見。ここからレインボーブリッジへ登るようだ。ちなみにバリアフリーで車いすでもそのままお台場へ渡れる模様。

s_daiba-5232sレインボーブリッジへ上がるビルの入口。ガラス張りの綺麗なビルだが今は閑散としていて、訪問時は工事関係者と自転車でお台場へ渡る人たちぐらいしか居なかった。

s_daiba-5233ビルの中へ。レインボーブリッジにはノースルート(北側)とサウスルート(南側)の2本の通路があり、台場跡は橋の南側にあるので左のサウスルートへ向かう。

s_daiba-5235レインボーブリッジ内部へ。車道のすぐ横のタイル貼りの道が遊歩道。すごい排気ガス。海側は目の細かい金網で覆われており、台場が見づらい。台場跡はお台場側にあるので、とりあえずどんどん進む。

s_daiba-5236しばらく進むと少し出っ張った展望エリアのような場所へ。ここには金網がない場所があるため、台場跡がよく見えるようだ。ここから観覧しよう。

s_daiba-5237 展望エリアにあった地図。レインボーブリッジのくるっと一回転する場所のちょうど出口あたりのようだ。ちなみにくるっと一回転する場所は遊歩道では行けない。

s_daiba-5238田町側の展望エリアから見たお台場方面。肉眼で見た感じに近い広角撮影だとこんな感じ。手前にぽかんと浮かぶ緑の島が第六台場。その左奥、橋の脇に少し見えているのが第三台場(台場公園)。

s_daiba-5239少しズーム。フジテレビに代表されるお台場ビル群の手前に浮かぶ緑の島。知られざる都心の歴史スポット。

s_daiba-5249更にズーム。第六台場の奥に見える細長い島は防波堤「鳥の島」。

s_daiba-5255更に拡大してみると第六台場への入口らしき石垣の切れ目が見える。これ以上はぼやけてしまうので、もう少しブリッジを進んで近づいてみよう。

s_daiba-5263第六台場の正面までやってきた。というかどこが正面かわかりづらいが、恐らく舟の入口があるこちらの角が「正面」かと。

s_daiba-5265第六台場 入口。石垣は幕末期らしい落し積み。隅部は切り揃えられた石材による美しい算木積み。台場は基本正方形だが、入口のあるこの角のみ少し角が切り取られその中央に入口がある形になっているようだ。中の様子は完全に緑で覆われていて全くわからない。

s_daiba-5272少しお台場側へ進んで一枚。まさに東京湾に浮かぶ要塞。左奥には砂浜もあるようだ。砂浜があると上陸されてしまうので往時は無かったと思うが、長年の放置で砂が堆積?したのだろうか。

s_daiba-5274第六台場の入口をナナメからズーム。船着場と思われる部分は半分ぐらい崩壊している。その左側に半分沈んだような石も何かの跡だろうか。一から埋め立てた人工島でも150年ほど放置すればこれだけのジャングル島になるというのだから驚き。いつか上陸ツアーが計画されたら是非行ってみたい。

s_daiba-5279超広角で見る第六台場。大都会に囲まれた東京湾にポツンと浮かぶジャングル島の異様さがよく分かる。

s_daiba-5285お台場側の砂浜部分をズーム。放射状に砂が積み上がっている感じ。こちらの角の少し内側には何やら藤棚のような網状の屋根が垣間見える。

s_daiba-5291さて第六台場はこれぐらいにして、お台場方面へ目を向けて第三台場を見てみよう。こちらは第六台場とは異なりかなり整備されていて、より当時の姿がわかりやすい姿になっている。また築造当時は海の上に浮かんでいたが今はお台場から歩いて行けるよう道が作られている。この角度から見るとレインボーブリッジが第三台場の上を通っているようにも見えるがそうではない。

s_daiba-5298もう少しお台場側によってみる。いびつな五角形をした海上要塞。函館の五稜郭のような、幕末期独特の要塞感。左奥に伸びている道がお台場から通じる遊歩道。レインボーブリッジはあの遊歩道の先端あたりまで伸びている。

s_daiba-5304ここからは少しづつお台場に向かいながら、表情を微妙に変えていく第三台場を見ていこう。良好に残る船着場、そして台場周囲に高く積まれた土塁と、中央部が思い切り凹んでいる独特の形がよくわかる。

s_daiba-5307船着場正面から見た第三台場。船着場の右側には石碑も建っているようだ。台場の左側は比較的樹木も伐採整備されているが、右側は森っぽい。

s_daiba-5309更にお台場側に寄って。浦和で散々脅した翌年、満を持して再来したペリーは、去年まで全く無防備だった江戸の海に突如出来たこれらの海上要塞を見てマジビビったことだろう。サムライ恐るべし。

s_daiba-5311少し目線を落として。よく見ると左側に台場にくっつくように小さな島があることが分かる。行けそうならここにも行ってみよう。

中編ではいよいよ品川台場へ上陸します。

>> 品川台場 [中編] へ続く。<<

訪問時期:2014年9月
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品川台場 [前編] 六番台場をレインボーブリッジを歩きながら眺める” への2件のフィードバック

  1. こんにちは。

    第六台場の方は、築後ほぼ放置されている割には石垣がしっかり残っているとも言えますが、これだけ木々が生い茂るとその根によって土の遺構はほぼ崩れてしまっていそうですね。「自然に戻る」という観点ではこれも1つの姿なんでしょうが、歴史的な遺跡を残すという観点に立った時に果たしてこれでいいのか、悩ましいところですね。

    1. kanageohis1964さん
      いつもありがとうございます。品川台場については場所の問題もあり殆どが破壊されているので、放置とは言え150年間壊されずに残っているだけでもステキなことだと考えています。いずれ機が熟したら都による整備や見学会が出来るようになるかもと期待しましょう。

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