宇江城(うえぐすく)は沖縄本島の西に浮かぶ久米島に築かれた山城で、久米島の北端に位置する標高310mの山頂に築かれた中世グスク。中城按司によって築かれ当時は久米の中城と呼ばれていたが、16世紀初頭に琉球王国の尚真王が攻撃し落城したと伝わる。城内の石垣は現地で取れる安山岩が使われていて、琉球石灰岩を用いる沖縄本島のグスクとは大きく異なる。戦前まで良好に遺構が残っていたが、戦後米軍基地の建設に際し二の郭・三の郭の石垣が持ち去られ、現在は一の郭の石垣が現存とされる。
<基本データ>
●名称:宇江城 (うえぐすく)
●所在:沖縄県島尻郡久米町 (地図)
●城主:宇江城按司
●築城:15世紀頃?
●遺構:石垣、石畳、井戸
●時間:30分 (14:10-14:40)
●参考:沖縄の名城を歩く、グスク探訪ガイド
●情報:国指定史跡
訪問時期:2020年12月
宇江城(久米島) 訪問記 − 其の一、二。
<訪問記>
宇江城は久米島北部の一番高い山の上にあり、周辺の道を走っているとその威容がよく見える。北側から見た一の郭の望遠ショット。 肉眼サイズではこんな感じ。天気悪くて残念。 山頂に通信設備が建設されている関係で、山頂 三の郭まで車道が通じている。 あっという間に山頂の三の郭駐車場へ到着。めちゃくちゃ見晴らしが良い。そして遮るものが何もないので風がきつい!天気が悪いので余計に。 現地にあった宇江城城跡(うえぐすくじょうせき)説明版。14世紀頃に築かれ、16世紀初頭に琉球王国 第三代国王 尚真王により久米島按司が討伐され宇江城も落ちたと推定される。 説明版に載っていた宇江城 縄張図。細長い山頂に、三の郭・二の郭・一の郭が連続して作られている。その周りを巨大な城壁が囲っている。 久米島博物館にあった「グスクマップ」。宇江城は図の右上、島の北端に位置する。久米島には10ほどのグスクが確認されており、うちここ宇江城と具志川城が国指定史跡になっているようだ。 久米島博物館にあった宇江城の縄張図。比較的緩やかな南面に登城路があったようだ。 ではお城に上がっていこう。三の郭から二の郭、一の郭へは高低差があり、アルミの階段が設置されていた。 上は二の郭。二の郭の側面は、細長い石が積み上げられている。巨大な石もあり、この山自体が安山岩の岩盤でできていて、岩盤と石垣を組み合わせた城壁になっている。 二の郭へ。結構広い。当時は左右に石垣の城壁があったのかもしれないが、二の郭・三の郭は米軍基地建設の際に石積みが持ち去られたと記録があり、どうなっていたのかはわからない。 二の郭の三の郭側は土塁のように盛り上がっている。上から見下ろしたかったが立ち入り禁止。 二の郭には井戸跡と、目の前に巨大な一の郭の城壁が見どころ。 二の郭に残る石組みの井戸跡。井戸の奥は一段高くなっていて、基壇跡とされる。 巨大な平べったい石があちこちに積まれている。郭のサイドに帯曲輪的な石畳の空間・通路が築かれていた。 郭のサイドに築かれた石畳の帯郭的な空間。その下は結構な急斜面で下まで一気に落ちる。登城路以外から直接あがってくるのは難しそうだ。島の北側の海が一望! 帯曲輪の石畳をアップで。いい感じ。 二の郭の上段にあたる基壇跡。何か重要な建物が立っていたのかもしれない。 巨大な岩盤がそびえる一の郭の城壁。 基壇側から見上げる、一の郭の城壁。元々の岩盤と、それに接続するように平たい石を積み上げて築かれた巨大石垣。 石畳の帯郭は二の郭のサイドのみに築かれていて、一の郭の周りには無かったようだ。
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訪問時期:2020年12月
撮影機器:FUJIFILM X-T20 + XF10-24mm