姫路城では春に特別公開として通常非公開の櫓などを期間限定で公開しています。今回は2022年3月に公開された、本丸北東部に位置する「トの櫓」「との一門」「との二門」「搦手周辺」の訪問記です。
<基本データ>
●名称:姫路城 トの櫓
●所在:兵庫県姫路市本町 (地図)
●遺構:トの櫓 との一門 との二門 ちの門 井郭櫓 番所 土塀
●時間:2時間 (14:30-16:30)
●参考:姫路城 春の特別公開について
訪問時期:2022年3月
姫路城 特別公開2022.3 訪問記 − 其の一、二、三。
・姫路城 訪問記まとめ
・姫路城 特別公開2019「小天守群」
・姫路城 特別公開2020「太鼓櫓」
<訪問記>
やってきました姫路城。通常ルートはパスして、限定公開トの櫓へ直行します。本丸東側、備前門の外側すぐのここが特別公開エリアの入口でした。 2022春の特別公開チラシ。例年は2月に行われますが、今回は搦手周辺が石段で、2月は雪が残っていて危ないということから、3月公開になったとのことです。トの櫓の内部公開は史上初とのことです。 搦手門付近が通れた頃は普通に通っていた、この細い通路(左側:折廻櫓・右側:井郭櫓)から奥へ。 井郭櫓。多聞櫓の中に井戸が設置されています。城があった当時は「井戸櫓」と呼ばれていたことが現存図面等から判明しています。この井戸がある部屋だけでなく、搦手側の枡形の一角を守る重要な位置を占めています。 井郭櫓の内部。木組みの屋根の上に井戸が設置されていて、水を汲み上げるための滑車も残ります。 通路側にはもともと壁が無かったようです。南側には見張り用か横格子の小さな窓も。 振り返って井郭櫓。壁や屋根の漆喰がきれいに塗り直されていて、とてもきれいです。 井郭櫓の突き当りは、小さな「ちの門」と、その横を守る番所があります。今は特別公開の料金所になっていて、ここで200円払って中に入ります。つまり、ここまでは無料です。 旧番所 説明板。改修が何度も加えられていて元の姿を留めていないことから「旧」が付いているようです。 小さな「ちの門」を通って搦手方面へ向かいます。小さいながらも、搦手側から備前丸へ抜けるルート上にあるため、鉄板で補強された強固な扉になっています。 「ちの門」の上に貼ってあった「棟門」の説明パネル。 ちの門から、搦手方面へ向かう枡形へ。小さな門をくぐると、巨大な大天守の東面が目の前にあらわれて、あっと驚かされます。 近すぎて全貌が見えない大天守。左側の鉄格子のある櫓は「折廻櫓(おれまわりやぐら)」。右奥階段上に見えるのは「への門」、今回は両方とも非公開で見られません。 こちらが「トの櫓」と「との一門」。ここから搦手方面へ降りていけます。との一門に接続して左側に伸びているのは「への門東方土塀」。 トの櫓。石段に仮設の手すりが設けられています。 では石段からトの櫓へ入ってみましょう。右側の土塀奥は搦手側、櫓の右端に小さな格子窓がついているのが印象的です。 トの櫓 内部。今回が初公開とのことです。奥の部屋が「との一門」の二階で、覗くことはできますが立入禁止とのこと。搦手側へ攻撃がしやすいよう、床板を張って真下が狙えるようになっているようです。 トの櫓 説明板。特徴は「土間」かつ「ひし形」であること、東側と南側(搦手側)に石落としがないため直下 石垣際の敵も攻撃できるよう一段高くなっていること、があります。 一段高くなっている床板の上に更に仮設の床板を張って、直接遺構に触れられないようになっています。通常櫓内に入る際は靴を脱がないといけませんが、ここは土間なのでそのまま入れます。 東側と南側に小さな格子窓があって、かなり高い位置から直接攻撃ができる仕組みになっているのがよく分かります。 そして菱形のトの櫓が分かる写真を。南側小窓下。 こちらは北東端。鋭角になっています。更に東側に傾いてもいるそうです。姫路城では他にも太鼓櫓が同様に菱形かつ傾いています。 東側の一段高くしている床板の柱と礎石。平らだけど、ボコボコと穴の空いた変な石です。 との一門の二階。床板がかなり薄そうで、入れないのも納得です。格子窓の外側に突き上げタイプになっているのは、多数の櫓門が残る姫路城でもこの「との一門」だけとのことで、置塩城からの移築ではと言われているとか。梁を支える柱が窓の内側に多数配置されていて、実に古い感じがします。
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訪問時期:2022年3月
撮影機器:FUJIFILM X-T20 + XF10-24mm