楽々前城 訪問記 其の二。
[前回までの訪問記 概要]
北の斜面を直登して尾根道へ。尾根上の曲輪の西側を守るように築かれた巨大な畝状竪堀群が前半のハイライト。良好に残る竪堀群を見て、切岸の上へ。其の二では、山頂部の主郭を中心に築かれた主要部を見て回ります。
訪問時期:2021年12月
楽々前城 訪問記 − 其の一、二。
<訪問記>
尾根の先端をグルッと囲むように土塁が築かれている。 細い尾根ルート上には、右側(西側・畝状竪堀群があった方向)に土塁など遮蔽構造物が築かれている場所が多い。 では主郭部へ向かおう。ここもルートがいまいち分からず、こういった曲輪群を頼りに、あとは斜面を直登して登っていく。元は道があったのだろうが崩れて失われてしまったと思われる。 そして主郭部に近づくに連れ、そこそこの大きさの石が散乱している場所が目についてくる。かつては主要部外周は石垣が積まれていたかもしれない。垣屋氏によるものか、秀吉侵攻後に接収し強化されたものかは不明。 北の尾根筋から主郭へ向かってきたところの一段下の曲輪には、このように低い石積みで区画されていた跡が残っている。城遺構というより寺院跡っぽい雰囲気。城の前か後かは不明。 比較的角の取れた石が、2−3段ほど積まれ、曲輪を区画している。 こんな感じで縦横に複雑に区画されている。この遺構が見られるのは、主郭部に多数ある曲輪の中でも、ここだけ。 右側斜面側には大きな土塁が築かれ、そこの側面にも石垣があった。 そして石積みのある場所の奥の高台の上が、楽々前城の最長部・主郭にあたる。ここからは上がれず、向かって左側から回り込んで坂虎口から上がる。その前に、主郭右側の斜面へ。 埋もれているが、石積みで囲まれたなにかの場所のような遺構。 更に奥には、丸い石が積み上げられ、その周囲を石積みで囲むという、よく分からない場所も。墓のようにも見える。 そして主郭へ。かなり広く、きれいに削平されている。木々が生い茂っていて残念ながら眺望は無し。 主郭にも、小さな丸い石が積み上げられたような場所が。城の遺構ではなさそう。 そして北尾根と反対側に、幾つかの帯曲輪が構築されていて、急斜面の南を除く主郭の全方位を守るようになっている。 主郭の南東側に構築された広い曲輪。二の郭かな。この先には南の尾根が伸びるが、すぐに堀切で遮断されている。見に行ってみよう。 斜面の下に大きな堀切が見える。 下へ降りてきた。堀切から、先の曲輪の上を見上げる。ここもなかなかの急斜面、高低差。 南の尾根を守る堀切と切岸を斜めから。堀切・切岸はこの角度から見るとその堅固さが強調されて分かりやすい。 そしてこの堀切には石積みがあったかもしれない痕跡も。 尾根の先にはもう一つの堀切も構築されていた。こちらはやや浅いが、高低差はなかなか。 では主郭の東側に作られている帯曲輪(三の郭)を通って北の尾根に戻ろう。井戸跡のような凹みも。奥は二の郭とを隔てる土塁。 そしてこの主郭東側の帯曲輪には、このように大量の石材が産卵している。コチラ側の斜面に石垣が築かれていたのだろうか? 斜面の上を見てみると、殆どは落ちてしまったのかもしれないが、少しだけ石が張り付いて残っているところもあった。 最後に、下山途中の北の尾根先端にあった出城跡(北城)と言われる場所へ。削平はあまくほぼ自然地形に近い。北側を見張る場所といった様相。 そのまま北城の西側斜面を降りて下山。このあたりは谷筋になっていて、丸い石がゴロゴロしていた。雨の後などは川になりそうな雰囲気。 当日のGPSログより。約2時間半、3.7kmの行程。
訪問時期:2021年12月
撮影機器:FUJIFILM X-T20 + XF10-24mm