中津城 [3/4] 城下に残る大手門跡の巨石石垣と「おかこい山」遺構。

中津城 訪問記 其の三。

[前回までの訪問記 概要]
中津城跡は本丸の半分は駐車場、半分は中津大神宮を中心とした神社群の境内となっている。参拝を済ませてカッコいい模擬天守へ。本丸外周を一周して現存する本丸水堀・石垣を見て回る。黒田時代と細川時代の石垣の変遷がよく見て取れる。西側川沿いに残る、古代山城から拝借してきた石材を使った石垣は必見。続いて本丸外に残る城門の跡を見て回ろう。

訪問時期:2017年1月
中津城 訪問記 − 其の一


<訪問記>

nakatsu-71_3499再び本丸へ。西側に建つ、中津神社。こちらは幕末に建てられ、廃城時に唯一残された「松の御殿」跡。せっかく残されていたのだが、明治10年の西南戦争の際に西郷方として中津で決起した不平士族「中津隊」が放火して焼失。巨大な玄関があったと想像できる、大きな礎石が残る。

nakatsu-72_3498松の御殿 説明板。幕末期に江戸藩邸に住んでいた諸姫君が帰郷した際に住む場所として建設。廃藩置県による旧藩主一族の退去後は県庁舎として使われていたが、それが故に中津隊の攻撃対象となりあえなく焼失。

nakatsu-73_3500松の御殿跡のすぐ脇には、本丸三つ目の出入口だった「水御門跡」が残る。一番地味だが、他の2つが大きく壊されているのに比べ、水御門跡は食い違いを構成する石垣がそのまま残っている。

nakatsu-74_3501水御門跡。右手前の石垣には、隅石に巨大な石材を縦に積んでいる、珍しいスタイル。中津城内では他に大手門跡などで、この「縦積み」の隅石垣を見ることが出来る。そして水御門は櫓門型で右手前の石垣から左の石垣の上までまたぐように乗っかっていた。

nakatsu-75_3504水御門を外側から。右に折れ曲がった先に水御門があった。右側の石垣の上には見張り櫓、そして左側の電柱の後ろあたりには二層櫓がそびえていた。こちらは失われ家が建っていた。

nakatsu-76_3505水御門から三之丸へ入り、本丸南の水堀沿いに東へ。最初に入ってきた大鳥居を目指す。

nakatsu-77_3507石垣が折り曲げられている箇所がある。ちょうどこの正面に説明板が建っている。

nakatsu-78_3508櫓と堀 説明板。この折れ曲がりの場所(出角)の下半分ぐらいが黒田時代、上半分が細川時代という。黒田時代の石垣の上部あたりからは櫓の礎石が出ており、かつてもっと低い石垣の上に櫓が建てられていたようだが、細川時代に櫓は撤去され石垣が積み足され、今のような姿になったという。

nakatsu-79_3510この石垣の上半分が細川期、下半分が黒田期。確かに下の方は丸いままの石材が多く、上の方は小さいながらも加工された跡が見て取れる。が、どこがその境目かは素人目には分からない。

nakatsu-80_3511石垣の特徴 説明板。九州で唯一 天正期の石垣が地表に残る城跡という。解体修復工事も適宜行われているとか。お堀の水を抜いたら石垣の手前だけが凹んでいる様がよく分かる。入ってみたら意外と浅い水堀で、歩いて渡れる!と思い込んだ敵兵が堀を歩いて石垣に近づくと急に深くなって狼狽する、という仕掛けだろう。

nakatsu-81_3512石垣の食い違い部分。石垣に張り付いた敵兵を横から攻撃する「横矢掛け」と言われる構造。ちなみに今は堀沿いに道があるが、当時は堀に沿って武家屋敷が並んでおり、通り道はもっと離れた位置にあった。

本丸外周はこれで一周してきた。続いて、三之丸あるいは城外に残る、御門跡などの遺構を見て回ろう。

nakatsu-82_3518まずは三之丸に残る、家老屋敷門「生田門」。かなり重厚だ。現在は「南部小学校」の校門として使われている。

nakatsu-83_3520生田門と中津市学校 説明板。元は三之丸にあった奥平中津藩家老・生田家の門で、廃藩置県後の明治4年に福沢諭吉の建議により三之丸跡に「中津市学校」が創立され、門がそのまま使われたという。「天は人の上に人を造らず」で有名な「学問のすゝめ」は、この学校設立に際して住民に学問の重要性を説くために書かれたものだとか。一時は学生600人を抱えるほどにも成長したが、西南戦争による経済悪化と、学制整備による公立学校の充実により衰退し、明治16年には閉校となった。その後 明治43年に南部小学校が開校し、江戸時代の家老屋敷の門はずっとこの地で学生を見守り続けてきた、ということだ。

nakatsu-84_3522続いて、三之丸の東の端にあった大手門跡へ。大手門自体は道路建設等のため取り除かれて跡形も残らないが、大手門桝形を構成する石垣の一部が、生田門のあった南部小学校の東端に残っている。こちらがそうだ。

nakatsu-85_3524大手門 説明板。三ノ丸の東端に位置する内桝形虎口となっている。大手門は、黒田官兵衛が滅ぼした犬丸城(城主は犬丸清俊、宇都宮氏の反抗に端を発した豊前国衆一揆で黒田軍に攻められ滅亡)の古材木を使って造られたといわれる櫓門だったという。

nakatsu-86_3526在りし日の大手門の正面。左側の石垣の奥あたり、横断歩道があるところ付近に横切るように石垣の壁があり桝形を形成。そして横断歩道の右側に巨大な櫓門があった。

nakatsu-87_3528大手門跡の現存石垣をよく見てみよう。やはりいちばん目立つのは、一番外側に面して配置されている「縦長の巨石」だろう。その他にも巨石が多数配置されている。石垣の上には土塀が設置されていた。

nakatsu-88_3527大手門跡の説明板。発掘調査の結果、最初(黒田期か)は石垣は少ししか築かれていなかったが、徐々に拡張され、細川期に古絵図に残る桝形の石垣が完成したという。初期は櫓台跡だったというわけだ。古い石垣ほど内部に占める石の割合が多くしっかりとした構造になっているという。ちなみに大手門入口に配置されている縦長の巨石は、「縦石積み」と説明されている。

nakatsu_88a_3535.jpg縦石積み以外の巨石群。周囲には小さな石が埋め込まれている。打込み接ぎと呼ばれる手法。

nakatsu-89_3536大手門石垣の三之丸側。

nakatsu-90_3530大手門跡の近くにはもう一つ発掘された遺構が見られる。大手門跡の外側に掘られていた水堀跡。埋め立てられていたが、発掘の結果場所や深さが判明したという。

nakatsu-91_3532大手門前の町家街に築かれた水堀跡。石積の頭も見えている。実際はもっと深かったが安全上ここまでの復元だとか。右側の建物は公民館、この下には発掘で出てきた屋敷跡の遺構が埋戻しされている。

nakatsu-92_3293続いて、中津城の城下町の外周をぐるっと囲んでいた土塁、通称「おかこい山」の遺構を見ていこう。中津の町全体を囲う外濠土塁、二之丸三之丸を囲う内濠土塁があり、外濠土塁は全長2.4kmにも及んでいた。廃城以降、不要となったためほぼ破壊され失われたが、今でも僅かながらその断片が残っている。残っているのは内濠土塁が1箇所(民有地内)、外濠土塁が3箇所、とある。見学が可能な外濠土塁3箇所を見に行ってみよう。まずは「鷹匠町」土塁。

nakatsu-93_3294中津城おかこい山、鷹匠町土塁。住宅の脇に、おかこい山の断片が残る。

nakatsu-94_3295土塁の奥に細い水路が流れているが、これはかつての外濠跡という。外濠に隣接して数mの土塁がずっと築かれていた。説明板によると残っていたのは奥の半分ほどだけで、手前半分はkずられていたようだが、奥を参考に手前部分も復元したという。

nakatsu-95_3323つづいて2箇所目のおかこい山遺構、自性寺境内へ。こちらが自性寺。この境内奥の墓地に おかこい山 が盛大に残るという。

nakatsu-96_3312自性寺に建つ、中津城おかこい山の説明板。城下町の南西角に位置し、長さ120m、頂部幅6m、高さ5.5mの土塁が残るという。土塁はタダの土の山ではなく、内部は川原石と土の層を交互に用いて強度を増しているとか。

nakatsu-97_3322自性寺 墓地奥に残る おかこい山。石段があり上に登ることができる。なお土塁の下に石積が見られるがこれは平成19年に施工された土留のためのものということ。

nakatsu-98_3314しっかりとした土塁が墓地の周囲にぐるっと残る。

nakatsu-99_3313自性寺おかこい山。

nakatsu-100_3321上へあがって土塁を上から見る。右側は今は住宅地等になっているが当時は外濠だった。土塁自体は文化財、崩落を防ぐために立ち入るのは墓石スペースまでにしよう。

nakatsu-101_3319自性寺おかこい山 土塁。手前が城下町側、奥の家が建っている場所は外濠跡。コレだけの規模の土塁が街中に残るのは、城下町のちょうど南西角がたまたま自性寺の寺領で、それが江戸時代からそのまま残ったため、だろう。

nakatsu-102_3320おかこい山 土塁は、城下町の南西角ということで、L字型に残っている。南側の土塁はその外側の外濠を埋めてJR日豊本線の高架土塁として使われており、当時の幅などとは異なるかもしれないが、一応 土塁の姿のままで残っている。当時もだいたいこのような姿で城下町が囲われていた、という雰囲気が見られる絶好の場所だろう。

>> 中津城 [4/4] へ続く。<<

訪問時期:2017年1月
撮影機器:FUJIFILM X-T10 + XF14mm
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