原城 [3/4] 本丸地中から出土した破却石垣の残骸を現地展示中。

原城前回までの 原城跡 訪問記。

東の池尻口門跡より本丸へ。まるっきり埋められていたという池尻口門は発掘調査で掘り返され、再び陽の目を見た。本丸には天に祈る天草四郎時貞の石像や十字架の塔、島原の乱記念碑などが建つ。

Part3では本丸中央部、四郎家跡などを見て回ろう。


<訪問記>

harajo-0884本丸に、発掘調査で出てきた「破却で埋められた石垣」が、出てきたときのまま保存展示してある場所がある。大抵埋められてしまうので、貴重な展示。ちょうど折れ曲がりのあたり。

harajo-0885石垣内隅部破却状況 説明板。この穴の下に石垣跡が出てきたということは、島原の乱当時の本丸石垣の内隅部はここだった、ということ? 本丸周囲の石垣の上部の石を取り外し、それを内隅部の凹んだ部分に(一揆兵の死体と一緒に)投げ込み、土で埋めてしまったという。城も破壊でき、死体も処理でき、不都合な歴史も抹消[隠蔽]できるという一石三鳥なやり方だ。400年前のお話だが、21世紀の今日でも紛争地帯や一部独裁国家では同じようなことが行われているのだろう。(2011年の中国鉄道事故 など)

harajo-0886破却跡の発掘現場。L字に整然と並んでいるのが乱当時の本丸石垣。内側に乱雑に落ちているのが、壊して投げ込んで埋めた石。実際には一揆兵と見られる人骨等も大量に発掘されたとか。400年経ってやっと陽の目を見て供養されたのだろう。小さな丸い石は栗石と呼ばれる、石垣の裏側に排水性能向上のために埋め込まれる小さな石。この栗石を埋め込む手法は織豊期以降の石垣と言われており、これがあちこちにあるが故に、原城の石垣は織豊期以降に織豊関連の技術者により構築されたことが分かるという。

harajo-0887内隅部石垣発掘現場。結構大きく場所が取られている。石がたくさん落ちているのは内隅部の角の付近のみのようだ。周りの黒いのは網、発掘現場展示ということで崩れないようにこうせざるを得ないのだろう。

harajo-0888内隅部石垣破却状況のあるあたりから、先ほど通ってきた本丸城壁を見下ろす。先ほどの穴が本来の石垣跡だとすると、この「更に外側にある石垣」は、何だろうか?

harajo-0889ついでに池尻口門方面も見てみる。腰巻石垣のような道沿いの石垣の長さがよく分かる。道の左側の空堀と見られる部分も結構な深さだ。

harajo-0890s近くには「原城発掘」という看板もあった。人骨の他にも、キリシタン一揆兵ということで、それにまつわる出土品も多いようだ。「メダイ」とはメダルの仏語(médaille)読みで、十字架やマリア像などが刻まれたコインみたいなもの。メダイはロザリオについており、一揆兵はロザリオを首に戦っていたという証拠だろう。ということは戦国期に信長と戦った一向一揆・本願寺も僧兵・門徒兵はやはり数珠を手に首に戦っていたのだろうか? と看板一つで「妄想」に暇がないのも城跡散策時の楽しみ方の一つ。

harajo-0891石垣破却跡も面白かったが、その奥には更に巨大な発掘遺構がある。発掘された本丸虎口跡だ。虎口周囲の石垣だけでなく、階段や礎石もバッチリのようだ。

harajo-0892本丸虎口跡 説明板。ここは本丸北端にあたり、ここが南側から本丸への入口にあたる場所で、ここも徹底的に壊され埋め込まれていた場所とのこと。礎石だけでなく瓦片や玉砂利(虎口内の地面に敷く)も出てきたことから、ただの入口ではなく、瓦葺の巨大な櫓門があった堅固な防衛施設であったことが想定されている。残念ながらこの説明板も写真は不鮮明、図面に至っては完全に消え失せている。この説明板がもう遺構みたいじゃないか!

harajo-0893礎石か虎口周囲の石か、巨大な石が掘り出され展示されていた。矢穴跡がキレイに並んでいるからだろう。割ろうとして諦めたか、あるいは板塀を嵌めるためのほぞ穴か?

harajo-0895s虎口全景。L字型どころか、S字に曲がっている。礎石も8個も並んでおり、本丸に攻め入るにはなかなかに骨が折れる構造だっただろう。しかし最後は矢玉・食料が尽きたところで大量増員された討伐軍の総攻撃により落城してしまった。確かに矢も弾も無く刀槍だけでは、大軍の攻撃を防ぎきるのは厳しい。

harajo-0896虎口を出たところあたりから本丸外側の城壁を見下ろす。本来はもっと高い城壁だっただろう。まだ埋まっているか、上部がかなり壊されたか。

harajo-0897虎口外にも、石垣が壊されて埋められた跡の発掘現場状況展示があった。掘れば掘るほど石垣跡が出てくるということか。一見 障子堀跡(例:三河国山中城障子堀)のようにも見えるが、そういうことではない。

harajo-0898本丸虎口前に、巨大な看板が建っている。いろんなことが書いてあるが、大きすぎて全景を移すと何書いてるのか読めなくなるので、主だったところを。まずは「島原の乱 布陣図」。左下の緑色部(A〜N)が、一揆軍の「原城跡」。いまいる本丸跡はその左端なので、さすが一揆軍37000人を収容した原城跡はなかなかに広大だったことが分かる。対する幕府の討伐軍は右側全体の緑色部(1〜62)。余りに多勢に無勢か。両軍の間は「仕寄」と書かれている。仕寄(しより)とは攻城戦における攻撃側の城への接近のことで、堀や櫓や付城を造って敵城(ここでは原城)へ陣地を徐々に広げていくこと。つまり、布陣は上記のとおり山上主体だったが、その間の平地には討伐軍の櫓やら何やらがズラリと並べられていたということ。城に籠もる一揆軍は正に地獄の3ヶ月だったことだろう…。

harajo-0899巨大看板からもう1つ。原城跡以外のキリシタン遺構紹介コーナー。やはり城ファンとして行きたいのはここ、原城を築城した有馬氏(キリシタン大名)の本城だった「日野江城跡」。発掘されたこの虎口の立派なこと。安土城に匹敵する直線大階段だとか。西九州再訪時はぜひ訪れたい。

harajo-0901本丸 有明海に面して建つ「白洲」説明板。沖合に東西1000m(1km!)に渡って広がる浅瀬。世界的にも珍しいものだそうだ。残念ながら、時期的なものか(旧暦3月・8月の干潮時によく見える。訪問は10月)、草木による遮蔽か、全く見えなかった。白洲の前に看板を建ててもなかなか誰も行かないので、人が多く訪れるここにも建てたのだろう。ちなみにパンフによるとこの真下あたりに「抜け穴」跡があるという。昭和38年の豪雨で原城本丸が陥没し発見された。瓦や刀の破片なども見つかったという。この下は断崖絶壁で、なおかつ草木が生い茂っていて現在は立入不可だとか。

harajo-0905本丸南側には少し本丸から飛び出た場所がある。櫓台跡。発掘調査で瓦片が大量に出土したことから、往時はここに重層の櫓(天守に相当)が建っていたのではないかと想定されている。廃城後もその櫓は残っており、それが乱時にも使用されたのだろうか。壊され、埋められ、今はこの通り櫓台の上には何も残っていない。

harajo-0905a-0909櫓台石垣 説明板。台の上には何も残っていないが、周囲には堅固に設置されていたであろう石垣の跡が残っている。島原の乱の絵図にも残る石垣の張り出し部分とのこと。では下を覗いてみよう。

harajo-0906櫓台の上から下を覗くも、真下の石垣は見づらい。ということで櫓台の石垣は少し移動してから改めて見ることとして、まずは櫓台の上から本丸周囲の石垣を見る。これは向かって右側、完全に埋まっていたのか、石垣が真っ茶色。しかも、石垣の前の削平地の下からは「竪穴建物群跡」が見つかったという。1辺2−3m、9区画が通路とともに整然と並んでいるという。パンフによると冬季の籠城であったにも関わらず炉や釜戸跡が見当たらないことから、失火を防ぐために軍律がしっかりしていたことを示すようで、一揆勢とはいえ組織的に構築・運営された籠城だったと伺えるようだ。訪問時は整備中とのことで、今後もここは発掘現場展示がなされるとのこと。

harajo-0906a-0911櫓台から向かって左側(有明海方面)を見る。こちらも石垣が続くが結構壊されている。奥の本丸隅の部分は、パンフに「門跡」とあったので行ってみよう。

harajo-0906b-0915パンフに「門跡」と書かれていた本丸南端部。ゴミ箱で封鎖されている。確かに、下に降りていけそうな道がありそうな感じもあるが、埋められていたからかまだ発掘がここまで及んでいないからか、藪々で分かる状態ではなかった。調査前は城跡全体がこんな藪ヤブだったのだろう、これをここまで発掘し整備したのは、素晴らしいこと。

harajo-0906c-0916s門跡まで来たので、櫓台周囲の石垣を見る。なるほど確かにガッシリと積み上げられた土塁と、下部に僅かに残る石垣。往時は絵図にあったとおり、上までビッシリ石垣が積まれていたのだろう。しかもカーブを描いた石垣になっているようで、場所柄、他国の技術が応用されているようにも見える。

harajo-0912櫓台の上へ戻る。正面の海に面した小さな森は「天草丸」と呼ばれる出丸。ここにも乱の際には1000人から籠城したとか。眼下を見下ろすと、発掘調査で出てきた石垣の石材であろうか、石が積み上げてある。古絵図を見るとここらあたりは「谷」と書かれている。

Part4では、最大の発掘現場、本丸の半分もの規模を誇る巨大枡形跡に迫る。

>> 原城 [4/4] へ続く。<<


訪問時期:2014年10月
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