金沢城 [1/6] なまこ壁と鉛瓦が特徴的な青白い城、金沢城。

戦国時代、加賀一向一揆(本願寺)の本拠地だった「金沢御堂(かなざわみどう)」が1580年に織田軍武将 佐久間盛政に攻め落とされ、跡地に金沢城が建てられた。賤ヶ岳合戦で柴田側として戦った盛政は敗戦後に捕らえられ処刑。秀吉から金沢城を与えられた前田利家は近世城郭に改修し、後の加賀百万石の拠点となった。初期は天守が建っていたが落雷で炎上しその後は再建されなかったという。戦後から平成7年(1995年)まで城域は金沢大学となる。大学移転後は城址公園となり、現存する石川門・三十間長屋などの修復に加え、菱櫓〜五十間長屋〜橋爪門、河北門など城内の主要施設が次々と復元されている。

金沢城<基本データ>
●名称: 金沢城
●所在: 石川県金沢市 (マップ)
●築主: 佐久間盛政 / 前田利家
●築城: 1580年(天正8年) / 1592年
●遺構: 現存門/長屋、石垣、堀、曲輪
●関連: 金沢城公園HP金沢案内HP


<訪問記>

枡形虎口を形成する石川門や三十間長屋など巨大な建造物が現存する金沢城。城域は金沢城公園として整備され、広い敷地内には菱櫓や河北門(櫓門)などが木造復元されている。隣には三大庭園の兼六園があり、近隣には前田家ゆかりの神社や城下町などが残る。見所が多すぎなため最大規模の6ページ構成で金沢城 訪問記をお届けします。

kanazawa-3269sJR金沢駅。まるでシンガポールの有名ホテル・マリーナベイサンズみたいな駅舎(参考画像)。衝撃的だったので一枚。北陸新幹線の延伸を見越しての整備で、この船みたいな建物は伝統芸能の鼓を意識した「鼓門」とのこと。うーむ。

kanazawa-3272s駅から金沢城跡は結構離れている。旅行者には周遊バスが便利でオススメ。これは復刻のボンネットバス。普通のバスもある。1乗車200円だが、フリーパス500円もある。

kanazawa-3273a金沢城公園 入口に建つ案内板。やはり注目すべきは、前田家加賀百万石の巨大城跡と、鉛瓦にナマコ壁という特徴ある雰囲気。

kanazawa-3278sまずは兼六園との境目の道沿いにある現存櫓門「石川門」入口より散策スタート。写真のとおり、天気は悪いがさすが加賀百万石(3度目)、観光客でいっぱいだ。なお入場は無料(城内の復元櫓のみ有料)。

kanazawa-3280ここは内堀跡に架かる橋の上。大手門ではない(大手門は別にある)。内堀を形成する高い石垣が壮観。

kanazawa-3281a-3276橋の上に建つ 百間堀 説明板。明治に埋め立てられたようだ。

kanazawa-3282もう1枚、金沢城には築城時期(佐久間期〜前田利家期〜江戸時代)により様々な積み方の石垣が散在しており、それらの違いを楽しむことも出来る。見所スポットとして10箇所指定してあり、それぞれの場所にも番号に応じた説明板があるようだ。これも順次見て行きたい。

kanazawa-3285sでは石川門の枡形虎口へ。外側の門は高麗門。門には隙間なく黒い鉄板が巻かれている。そして特徴は何と言ってもこの土塀、瓦を交互に敷き詰めるこの壁は「なまこ壁」と呼ばれ、今でも幾つかの城や城下町などで見ることが出来る。防火や銃弾貫通防止などの目的もあるが、やはりこれを採用したのはその美しい見た目も重要な要因だっただろう。なまこ壁の命名の由来は、瓦と瓦の間の漆喰部分が丸く盛り上げられて塗られており、その断面がナマコのようだから、ということらしいが、どう見てもカマボコ状。むしろ かまぼこ壁と呼びたい。

ちなみに、なまこ壁でよく見るのは瓦をナナメ(◆)に張り詰めたパターンだが、個人的にはこのレンガ状に張り詰めたデザインの方が好き。

kanazawa-3286a-3288石川門 説明板。河北門・橋爪門(いずれも復元済)とともに三御門と呼ばれたとか。江戸時代からの現存ではあるがオリジナルのものではなく、江戸中期の1788年に再建されたもの。櫓門の部分だけでなく、枡形を構成する櫓・長屋・櫓門・高麗門すべてを合わせて「石川門」のようだ。

kanazawa-3287高麗門 左側にそびえる二層櫓。青く変色した銅板が貼られた「出し」とも呼ばれた出窓。これも城内のあちこちで見ることが出来る。もちろん底面は外して石落とし(石垣を登ってくる敵兵に石や槍を浴びせる穴)になる。出窓の屋根が唐破風(”{ “)なのが優雅な印象。

kanazawa-3290a-3297枡形虎口の内部へ。入ってすぐに目に入るのは、正面と左側の石垣がまったく様相が違うこと。専門的には左側が「打込み接ぎ(表面を叩いて軽く整え隙間に小石を詰める)」、正面が「切込み接ぎ(積む前にバッチリ整形してビッチリ積み上げ隙間が無い)」という。ここは現存設備なので、江戸時代からこういう状態だったようだ。どうしてこんなことになったのか。ちょうど真ん中の地面にある説明板を見てみよう。

kanazawa-3290b-3295石垣見学ポイントその1「石川門石垣」。石川門が再建された江戸中期の石垣のようだが、その後の史料にも「左右違い分けて積むのはおかしい」と言われていたようで、当時から??な状態だったようだ。石川門焼失後、左側の石垣はよく残っていたのでそのまま(築城当時のまま)使いまわした、とかそんなことだろうか。

kanazawa-3291左側の打込み接ぎ 石垣をよく見ると、多くの石に「刻印」が見られる。刻印は石を削り出し運んだ担当者を示す印で、特に複数の大名家が関わった天下普請と呼ばれる幕府指示の城郭でよく見られる。金沢城は天下普請ではないが、多くの家臣たちが築城に携わったので取り間違いや盗難が発生しないよう刻印を付けたのだろうか。

kanazawa-3294入ってきた高麗門を振り返る。高麗門は堀を超えてきた敵を抑えるには弱そうだが、その後の枡形虎口と左側に見える巨大な櫓門で抑えこむので、これはこれでいいのだろう。なお鉄砲狭間が内側には見えるが外側からは見えなかった。これは非戦時の間は薄い壁で覆って見えないようにして、戦時になるとそれを破って用いるため。せっかく美しいナマコ壁にボコボコ穴が開いてたらカッコ悪いもんね。

kanazawa-3298a-3290石川門といえばやはりこの巨大櫓門。気合の入った切込み接ぎのビッチリ石垣に、太い柱。鉄板を張り詰めた威圧感バッチリの黒い扉。ちなみに櫓門だけはなぜかナマコ壁じゃない(横も裏側も見たが白壁だった)。

kanazawa-3299金沢城および兼六園の城内マップ。これはかなり広い。今は城と庭園を分断する真ん中の道から少し城跡に入ったところ(赤く吹き出しが出ている)。茶色い部分が建造物。広い城内だけでなく、兼六園、関連する神社仏閣、城下町などを巡ることを思うと、金沢城見学だけで1日仕事を覚悟したほうが良さそうだ。ちなみに100名城スタンプは、石川門を入ってすぐ目の前にある総合案内所にあり。

kanazawa-3303石川門を入るとまずは三の丸へ。広い敷地の奥に、巨大な建造物(すべて復元)が見える。まずこの横に長い建物は、菱櫓〜五十間長屋〜橋爪門。3つは完成して中を見学することもできる。奥の建物はまだ工事途中のようだ。後ほどゆっくり近くまで行って見よう。

kanazawa-3306そして三の丸右側にはこれまた巨大な河北門という枡形虎口を形成する櫓門がある。三の丸内部に建物がなく、いきなり門だけがドドーンとあるのでちょっと目立ちすぎて異様。こちらも再建。よく見ると右側に二階櫓部分に入るための木組みがあるようなので、中に入ってみよう。

kanazawa-3306a-3318河北門二の門 説明板。先ほど通ってきた石川門より規模は更に大きいという。というのもこの先には広大な新丸を隔てて城の玄関とも言うべき大手門があったからだろう。実質的な正門だったとか。廃城後もしばらく残っていたが、明治15年頃に残念ながら撤去されたという。しかししばらく残っていた間に撮影された古写真や、江戸時代の詳細絵図などを元に木造復元を果たした。

kanazawa-3307では河北門二の門の櫓部分(2階)へ入ってみよう。櫓へ向かう木組み階段の途中からチラ見えしていた二ノ丸菱櫓の姿。江戸時代は三の丸には御殿・屋敷・蔵など多くの建造物が建ち並んでいたので、今のように「三の丸広場の向こうに櫓がポツン」という見え方では当然なかったが、当時の建物がひしめく向こうに見える巨大な櫓の姿は、きっとこんな感じだったのかなと思わせるビューポイント。オススメ。

kanazawa-3309河北門二の門 内部へ。入場無料。新しい木の香りと色合いに癒やされる。展示物はあまりなく、建物自体と眺望を見てみましょうという感じだ。

kanazawa-3314上を見上げると荒く削られた太い木材が複雑な梁を形成している。天井板が無い建物の見所は、この梁だと思う。

kanazawa-3314a-3313地面を見ると、床下の石垣の加工状況が見えるように透明パネルになっているところがあった。石垣の石がずれないようにか、隙間に詰石をするだけでなく、石同士を繋ぐ鼓型の金具(千切り)がされていた。これも鉛。

続いて河北門枡形を経て、新丸方面を散策する。

>> 金沢城 [2/6] へ続く。<<

訪問時期:2013年11月
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金沢城 [1/6] なまこ壁と鉛瓦が特徴的な青白い城、金沢城。” への2件のフィードバック

  1. お城が好きで、以前からチョコチョコ回ってましたが昨年初めて『100名城スタンプ』があることを知り、愕然。回りなおしています。
    公共機関を使って回っているのでなかなかですが、こちらのサイトを知ってからは、出かける前に教科書?ガイドブック?のように予習に必ず使わせていただいています。
    沢山沢山、お世話になっております。ありがとうございます。
    この週末に、北陸フリー切符を使って、高岡城、金沢城、福井城、一乗谷(時間がないので城址までは行けず朝倉氏遺跡のみ)、丸岡城を回って大阪へ帰ってくる予定です。
    七尾城へは行きたいのですが時間がないのと、一人では山城址は不安なのでツアーがあれば行こうと思っています。
    いつも大変お世話になっているので、一度お礼を申し上げたかったです。
    ありがとうございます。そしてこれからもよろしく。これからも参考にさせていただきます。

    1. 能上さま。
      とても光栄かつ嬉しいコメントありがとうございます!!
      私も公共機関を使ったお城旅が多いので、なかなか苦労していますが、100名城および有名な城郭であれば、電車バスでも頑張って到達できます!お互いに頑張りましょう。

      北陸フリーきっぷ、大人倶楽部限定ですが都内から22000円で4日間乗り放題、かなりいいですね。関西発でも3日間の北陸乗り放題きっぷ15000円というのがありますが、2名以上同行でないと使えないため、未だ出番がありません。残念。

      お時間あれば、福井城から歩いて10分ぐらいの商店街の中にある「北之庄城跡」へも訪れてみてはいかがでしょうか。北之庄城の上に福井城を建てたので遺構は殆ど無いのですが神社の地下から出てきた石垣や、柴田勝家公・お市の方・浅井三姉妹の銅像があり、資料展示館もあり、歴史を感じるスポットです。
      https://akiou.wordpress.com/2013/12/01/%E5%8C%97%E3%83%8E%E5%BA%84%E5%9F%8E/

      お礼だなんて、恐縮です。今後もよろしくお願いします!! m(._.)m

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